嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
「そうだ、お前何か知っているか? 昨日、最後に会った時、普段と違った状態ではなかったのか?」

 影からの報告では、リアリムはアトリエから飛び出して、走って行ったという。尋常な状態ではない。何があったのか、ことの次第ではユゥベールを縛り上げる覚悟でここに来た。

 だが、普段と同じようにアトリエで絵に向かう彼は、この部屋を出た後のことは何も知らないという。

「でも、僕リアを怒らせてしまったんだ、兄上」

「何があった。彼女を怒らせるなど、俺の記憶では、滅多なことでは怒るようなことはなかった」

「うん、わかってるよ。リアは、考えなしのようで、いろいろと考えているから。その、僕が悪かったんだ」

「お前、何かしたのか? 俺の許しを得ず、彼女に触れたのか?」

 思わず、ユゥベールが彼女に襲い掛かることを想像する。だが、これまで二人が触れ合うようなことはなかった。

「ち、違うよ! 触れてはいない! ただ、言い過ぎたんだ、僕が」

「どういうことだ、説明しろ」

 俺は怒りの感情をそのままに、ユゥベールを問い詰める。恐る恐ると言った体で、ユゥベールはとても信じられないことを話し出した。

それは、二人が異世界から転生した記憶を持つという、簡単には信じられないことであった。





「で、お前は、リアリムがイザベラ嬢にワインをかけられることを知っていたというのか?」

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