嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
 とても簡単には信じられないが、ユゥベールは愚かではない。かつ、彼の描く絵も異世界での記憶を元にしていると言われてみれば、確かにこの世界にない独特の絵を描いている意味もわかる。

「そ、そうなんだけど、イベントは発生する時と、しない時とあるから、確実ではなくて。でも本人が知ってしまうと設定が変わってしまうから」

 なにやらごちゃごちゃと話している。

「とにかく、お前はその、リアリムがイザベラ嬢にワインをかけることも知っていたというのか?」

「それは、僕はそこまではわからないよ。ただ、リアがワインをかけたことで、今回の事件が起きていると思う、うん」

「で、なぜリアリムは怒って出て行ったのだ?」

「それは、えっと、そう、性癖の話をして。そうそう、僕はおしりフェチだから後ろの穴も開発したいって話を冗談交じりで言ったんだ。そしたら、すっごい怒ってしまって。ほんと、それだけだよ」

 ギロリ、と睨むとユゥベールは小さくなって「ごめん、揶揄いすぎた」と言っている。

「お前は、そんな話を彼女にしたというのか」

事の詳細は後から聞くとして、今はリアリムの行方を追う方が喫緊だ。

「とにかく、ユゥベール。お前は王宮で俺の仕事の代理をしろ。俺はしばらく出かけるからな。そのくらいできるだろう」

「わ、わかった、わかったよ、兄上」

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