嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
 男が一人と、少年が一人。男は平民の着る服をだらしなく着ているし、少年もつぎはぎだらけの、汚れた服を着ている。男は街のごろつきだろうか。

「ハァ、こんな可愛い顔したお嬢様がなぁ、恨みっていうのは恐ろしいな。おいっ、連れて行くぞっ」

「はいっ、わかりましたっ」

 男は私の腕を引っ張り、街道から森の中に入っていく。少年は私の後ろを歩く。この奥で、乱暴されたらどうしよう、奥に入って行かないように、足を動かさないで座り込む。

「チッ、めんどくせぇ。おい、ここでいいだろう」

 男の一人が、動かない私を寝かせるとナイフを取り出した。

「おい、お前は一応、周囲をみておきな」

 こんな少年の前で私を凌褥するのだろうか、男は興奮して鼻息が荒い。臭い息が鼻にかかる。

(いっ、嫌っ、こ、こんなところで襲われるだなんて、)

 鈍く光るナイフを持った男が、私の服を破るために刃を近づけたその時。

 ――バチバチバチッ――

 目の前で魔法石の効果が表れる。ナイフを手放して「イテェっ」と叫んだ男が、痺れた手をさすっている。

「なんだこりゃ? イテテ」

 懲りずに男がもう一度私に触ろうとすると、またバチバチっと火花が炸裂する。

「ううぅっ」と呻いた男は、やはり手首を庇うようにさすっている。

「ダメだ、触れねぇ。これじゃ、何も出来ないぜ」

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