嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
「あ、私のこの秘密を知る人は少ないんですよ、ウィルティム様は特別です」

 そう言うと、「もっと良く見せて」と言いながら顔を近づけてくる。

 私もウィルティム様の色の変わる瞳をじっと見つめてしまう。

 ウィルティム様の吐息を感じる。ふと、彼の手がすっと頬に伸びてきた。

 剣ダコのある手がすっと頬を撫でると、そのまま下に伸びて顎を持ち上げる。

「、隙だらけだよ、リアリム」

 ドキン、と胸が弾ける。彼の顔が更に近づいてくる。

 も、もしかしてコレって、キス、されてしまうの? 私?

 転生前には、ちょこっと付き合った彼氏もいた。
 でも、この身体になってからは淑女教育を受けている私。もちろん恋愛ごとに免疫はない。

 この世界で18歳は、成人として認められている。結婚前にキスの一つや二つ、思い出にあってもいいんじゃないかなぁ~と思わなくもない。

 ドキドキしながら目をきゅっと閉じる。3、2、1




「コラ、二人とも距離が近すぎるぞ」

 戻って来たディリス兄さんの声が聞こえた途端、びくっと震えた私は思わずウィルティム様から距離をとってしまった。

 その途端、彼は私の肩を抱いて、ぐっと引き寄せた。

「なんだ、お前の妹に近づくのは罪なのか?」

「俺以外の男は、ダメだな」

 お前も嫉妬深いな、と言いながらウィルティム様は私から離れると、すぐにたち上がった。

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