嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
「はい、あーん、して」

 上目遣いになって彼を見上げると、また嬉しそうに顔を蕩けさせている。

「ん、美味しいな。ありがとうリア」

 もぎゅもぎゅと食べる彼は、私よりも早い勢いで食事を平らげている。

 お互いに食べさせあうなんて、恥ずかしいことも実際してみたら楽しかった。何よりも、彼の嬉しそうな顔を見ることができた。

「ウィル、美味しかったね。ありがとう」

 メイドの方がワゴンを片付けると、ウィルティム様はお茶を入れてくれた。私が入れようか? と聞くと

「このくらいは、俺がさせて」

 と、さっと入れてくれる。こういう人のことを、スパダリと言うんだっけ?

 紅茶も飲み終わると、もう疲れているだろうから、と、ベッドに横になるように言われる。

「リア、今夜は俺、何もしないから、一緒のベッドに寝てもいいか?」

 ドキン、と胸が痛いほど鳴っている。

「うん、いいよ。でも、ウィルは私が隣にいて、ちゃんと休める?」

「リアが隣にいてくれたら、その方が嬉しい」

 そう言うと、もう疲れが限界なのかウィルティム様はあくびを一つすると、私を抱えてベッドに二人で入り込んだ。

「リア、おいで」

 彼の腕の中に入り込むと、昼間に嗅いだ柑橘系の香りがする。暖かい彼の身体の中で、私は果たして休むことが出来るのだろうか、

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