嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
 攫われた事件の犯人が、やはりスコット公爵令嬢のイザベラ様だったのだ。彼女一人の犯行だったため、幸いにもプロの暗殺集団などではなく、街のごろつき程度への依頼となった。

 あの男は結局、禁固刑となった。そしてあの日、男をおじさん、と呼んだ少年も捕らえられたが、保護者である男の命令に背くことなどできない。

微力ながら私を助けたこともあり、少年院のような、更生施設を兼ねている場所へ送られたと聞く。

 問題は、イザベラ様だった。決定的な証拠がなく、もとはといえば高位貴族令嬢の嫉妬ともいえる行いに、厳罰を科すことができない。

 けれど、ウィルストン殿下の怒りは収まらず、彼の意見で彼女はなんと異国の王様の側室として送り出されることになった。

 私はイザベラ様に、遠方の、それも側室として嫁ぐようなことを望まなかったのだけど、ウィルストン殿下はとにかく、彼女が私の瞳に映ることのないようにしたかったようだ。

「全く、リアにしたことを思えば、もっとこう、いろいろとしたかったのだが」

「ウィル、お願い。もう十分だよ。急に決まって、すぐに出国したんでしょ、」

 そうなのだ、あのイザベラ様はもう既にこの国にいない。まるで攫われたように行ってしまわれた。

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