嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
「まぁ、あの国の王には、何人もの側室がいるが外に出ることは許されないようだ。その中で寵愛を得るのも、あの性格では難しいだろう。まぁ、それで良しとした」

 ウィルストン殿下はそう言うけれど、あの性格だからこそ、イザベラ様は側室の中でも苛烈に生き抜いてしまうのでは。と思ったけれど、それを口にするのは止めておいた。

 イザベラ様は何と言っても公爵令嬢だ。送り出すためにウィルストン殿下も陛下と交渉が必要となり、王である陛下からはある条件が言い渡された。

ウィルストン第一王子も早急に婚約し、1年以内に結婚すること、という条件だった。

 陛下としては、いつまでも婚約もしない第一王子にヤキモキしていたし、殿下は私と早く婚約したかった。というわけで、いろいろとすっ飛ばして今夜の婚約式となったわけである。

「さぁ、リア、行こう。私たちの婚約式だよ」

 エスコートしてくれる殿下の腕に、そっと手を添える。もう、逃げないと覚悟を決めたのだ。





 広間に入ると、皆が一斉にこちらをみる。緊張して思わず下を向きそうになると、声が降りてくる。

「リア、私がついているから、ほら、顔を上げて」

 隣に立つ殿下が、優しく見つめてくれると、胸の中がホッと暖かくなった。大丈夫、この人の隣に立つと決めたのは私なのだ。

「はい、殿下」

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