嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
 私たちの目の前にいる陛下が「ゴホン」と咳をする。はっと意識を取り戻した私たちは、陛下を見ると、彼はにやりと少し意地悪そうな顔をして笑った。

「よろしいか、二人とも。ようやくプロポーズも出来たことだし、今から婚約の儀を行うぞ」

「はい、陛下」
「はい」

 二人で隣に立ち、用意された婚約宣誓書が読まれた。その後、私たちはそれにサインをする。

「これで、二人の婚約が成り立った。結婚の儀は、これより1年後とする」

 陛下が宣言されると、周囲にいた人たちが一斉に笑顔で拍手を送ってくれた。それは、音のシャワーのように私たちに祝福を浴びせてくれる。

「ウィル!」

 私は思わず、涙で滲む目を手に持っていた布で抑えた。戸惑いもあったけれど、彼と一緒に歩むと決心して、こうして婚約することができた。嬉しさで胸がいっぱいになり、涙があふれてくる。

「リア、それは、君の目を抑えているのはパンツだ」

 ハンカチと思って使った布は、確かに先ほど贈られたパンツだった。

『のっ、のぉぉぉーーーー!』

 声にならない叫び声をあげる。この日の宣誓は後に、パンツ婚約式と呼ばれることになった。全くもって不名誉であるっ。





 拍手が鳴りやむと、コホン、と咳を一つした陛下が、集まっている全員に響くような声で話し始めた。

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