嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
「は、はい。そうですね、これから忙しくなります」

 結婚式の用意だけでなく、これからは王子妃としての勉強も始まると聞いている。

「そうだぞ、ユゥベール殿下が気になることを言っていたからな。確か、悪役令嬢がどうとか、あれ? イザベラ嬢がそうだったと言っていたのかな、うーん」

 ディリスお兄様と話をしていると、ウィルストン殿下がスッと近づいてきて、私の手をとった。

「ディリス、今夜から彼女は王宮で過ごすことになる。婚約期間中ではあるが、王宮で私が守るから、心配するな」

 そうだった、私はこれから嫁入り修行、ならぬ、王子妃、いや、未来の王太子妃としての修行が待っている。

「はぁ、そうだったな。まぁ、俺としても警備の薄い我が家よりは、王宮の方が安心だ。これからは頼むぞ、ウィル」

 そう言って、お兄様は片手をひらひらと上げて去っていく。

 私が王宮に居を移すことはウィルストン殿下の強い要望で決まったのだけれど。お父様も誘拐事件があったから、私の安全を第一にして許可してくれたのだけど。

この、殿下のにやけた顔を見る限り、なんだかそれは違う意図が隠れているとしか思えない。

「リア、今夜からいっぱい愛し合おうね。いつでも、傍に君がいるなんて最高だよ」

 ああっ、この腰を抱く手が怪しすぎる。誰か、誰か教えてください。私のライフ、あと残りどれだけでしょうか。





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