嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
 ウィルストン王子はチャーリーを鋭く睨みつけていた。

「そ、そうですわ。殿下、あちらで皆さんがお待ちですわ。それに私、少し気分がすぐれないような気がしますので」

 この隙に、何とか二人きりになるのを避けよう。これ以上、殿下を足止めしていたら私の社交界ライフがなくなってしまう。

「リアリム嬢では、また今度ゆっくりと。薔薇の他にも、一緒にみたい花はたくさんあるから、ね」

 そ、それは謹んでお断りしたいけど。

とりあえずその場を繕うために「は、はい」と答えておく。

「仕方ない、声をかけてくるか」

 ようやくウィルストン王子は渋々、といった顔で私の傍を離れて行った。

「ハァ、よ、良かった、助かった」

 チャーリー様が声をかけてくれなかったら、危うく二人きりになってしまうところだった。

 でも、なぜ殿下は私に興味を持ったのだろう。
今日は目立たぬように敢えて地味な服で来たのに。

 もしかしたら、この光の加減で色の変わる瞳が珍しかったのかな。
ともかく、殿下が正しく判断されて、イザベラ様を婚約者として選ばれることを祈るしかない。

 今や王子様ショックで大好きな焼き菓子を見ても手が動かない。
そんな私に追い打ちをかけるように、イザベラ様が近寄って来た。

「リアリムさん、貴方、殿下と何を話されていたの?」

 しまった! 今日はまだご機嫌伺いのご挨拶もできていない。

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