嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
 そして、今日。またも花束がセットで届くとは。意味深すぎて怖い。

「お兄様に、相談しようかな」

 ここまで来ると、万一を考えて動かなくては。
私がウィルストン王子の婚約者に指名などされた場合、ミンストン伯爵家の問題となってくる。

 先日つくったパウンドケーキも食べごろなので、それを持って行こう。

、、ウィルティム様にも会えるといいな。





 休憩時間を見計らって、出かける用意をする。兄に会う時はなるべく簡単な服装にして、今日もふわりとしたワンピースを選んだ。

「ディリス兄さま! 今日もおやつを差し入れに持ってきました」

 鍛錬場で寛いでいるお兄様を見つけた私。
駆け足で近づいていくと、周囲にいた騎士様たちが一斉に私の方を向いた。

「これは」
「すげぇ、噂通り、むちゃくちゃ可愛いな」

 普段と違った視線を感じる。やっぱり、この桃色の髪が珍しいのかもしれない。

「おい、ディリス。噂の妹君を紹介しろよ、いつも話をはぐらかしていて、名前さえ教えてくれないじゃないか」

「あ、あの、私」

 思わず戸惑ってしまうと、すぐにお兄様が助けてくれた。

「あ~、こいつはいいんだ。ウィルティムのお気に入りだから、な」

 なぜかここで、ウィルティム様の名前がでてくるのだろうか。
不思議だなぁと思っていると、さらに周囲の騎士様たちが、驚いた顔をしている。

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