嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
「あー、ウィルティム。当たり前だけど、節度ある付き合いにしてくれよな。ある程度は目をつむるけど」

「ははっ、わかっているさ。お前の大切な妹君だからな」

「ウィルティム様、今更こんなこと言って何ですが、ご迷惑ではありませんか?」

「迷惑? そんなことないよ。君を口説く期間を貰えたと思って、頑張るよ」

「はっ、はい???」

 く、口説く期間?そんなことしなくても、既にウィルティム様に落ちています、私。

「うん、じゃぁ、早速デートを申し込まないと、な」

「デート?」

「あぁ、デート。街歩き。今度の休日に、王都を一緒に巡ろう。よし、休みの日を確認してくるから、わかったらまた知らせるよ」

 そう言って、ウィルティム様は駆け足で去って行った。

「お、お兄様、これで良かったのかなぁ、私、何か早まってしまったような」

「ん? まぁ、いいんじゃないか? お前の気持ちも前向きになれれば、それが一番だからな」

 ディリスお兄様は、そう言った途端私の顔を見てため息を吐いた。

私はそのため息の意味を気にすることなく、ウィルティム様とのデートを想像しては浮かれていた。

 もうちょっと、気を付けていればわかったことなのに。

ウィルティム様の背丈と、ウィルストン殿下の背丈が一緒だったこと。
髪の色は違っていても、髪の長さが一緒だったこと。

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