嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
 ふと、ウィルティム様を見上げると日の光を浴びて髪がキラキラと輝いている。こうしてみると、まるでウィルストン殿下とそっくりだ。背の高さも、髪と瞳の色が同じであれば、本人と言われても信じてしまうだろう。

ウィルティム様? もしかして殿下と双子だったとか?

 いや、そんなことはあり得ない。ウィルストン殿下は皇后さまの第一子だ。と言うことは、王様の隠し子?

 バカなことを思い浮かべた私は、一人でふふっと笑ってしまう。ウィルストン殿下とウィルティム様がそっくりなのは、もしかしたら。

「まさか。え、そんなこと、あるわけないよね」

 双子でも、兄弟でもなくて、これだけそっくりで、もしかしたら、同一人物だとしたら?

 私はその可能性を考えたが、そうではないと思いたかった。私が好きなウィルティム様が、本当はウィルストン殿下だとしたら。

 眩しく光る太陽と輝くような髪を見ながら、私は自分に降りかかっている事態から逃れられないかもしれない、という予感を感じた。

 そうではないと信じたい私とそうかもしれない、と疑う私。

 そんなことを考えていた私は、目前にウィルティム様の顔が近づいていることに気づかなかった。ふわっと柔らかい感触が唇に当たる。

 何だろうと思った時には、ウィルティム様の微笑みがすぐ近くにあった。

「あっ、あの、今」

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