嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
 それでも、あまり長引かせないように。次のお茶会では、きちんと殿下に断ろう。
恋人がいます、と言えば殿下もこれ以上、私に拘ることもないだろうし

「うん、何とかして諦めてもらおう。また、目立たないようにしなくちゃね」

 寝苦しさを感じながら、私はどうやって次のお茶会をやり過ごそうかと、思うのであった。





 お茶会の日は、憎らしい程に晴天だった。雨でも降れば、ガーデンでなく王宮の中で開催されるだろう。
その方が隠れる場所も多いのに、今日は遮るものもないので、ばっちり殿下やイザベラ嬢の姿が見える。

 今日のイザベラ様は、果敢にウィルストン殿下にアタックしているようだ。
薄紫のドレスに、今日は珍しく髪を巻いている。
いつもは美しいストレートの髪をすとんと降ろしていることが多いが、今日はこてを使ったのかくるり、と大きく巻いている。

やっぱり、イザベラ様は美しい。

 遠目でみても、イザベラ様とウィルストン殿下のカップルは美男美女だし、隣に立っている姿をみると本当にお似合いの二人だ。

 なぜか、胸の奥がキュッと鳴った。おかしい、ウィルストン殿下のことは、全く好きでも何でもないのに。
不思議に思って、また殿下をみると、少し難しい顔をしながら必死に何か話している様子が見えた。

 イザベラ様も、扇で口元を隠しているがあの顔は喜んでいる顔だ。

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