嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
 ウィルストン殿下と会話すると、いつもイザベラ様は機嫌が良くなっている。
腰ぎんちゃくとしては、機嫌の良しあしは大変気になるところだけど、既にイザベラ様に敵認定されているみたいで、実は誰も私に話しかけてこない。

「ハァ、なっちゃった、イザベラ様に敵認定されるなんて」

 なぜか、殿下から花束付で招待状を貰ったこととか、宰相の選抜ではなく殿下推薦で私がお茶会に来ていることなどが、イザベラ様にバレた。

 よって、イザベラ様の新たなターゲットとして敵認定されたのだ。

 過去、イザベラ様から敵認定をされて生き残っている令嬢はいない。
皆、領地に引きこもるか不良物件と結婚して社交界から遠ざかっている。

 もう、殿下のロックオンを外しても社交界に戻れないかもしれない。
全くもって面倒な立場になってしまった。

 一人でポツンと立っているのもバカらしい、私はお菓子エリアに行って今日の焼き菓子を眺める。
やはり今日も美しく、そして美味しそうなお菓子たちが私を見つめている。

 そうね、今日はこのプチ・タルトを頂こうかしら。

 お淑やかな令嬢とは言い難いほど、口を大きく「あーん」と開けて、プチ・タルトを一つ丸ごと食べる。
これまで宮廷で出されるお菓子は、なるべく小さく刻んで口に入れていた。

けど、もう、マナーも何もあるか!
< 49 / 197 >

この作品をシェア

pagetop