嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
私、ライフ残っているのかな。

「で、殿下。私、お伝えしたいことがあります」

 勇気を振り絞って、今日こそはきちんと断ろう。
これ以上、婚約者選定のためのお茶会には出席できません、と。

 ん? と首を傾げた殿下は、腕を組みながら私の話を聞いてくれていた。

「あの、私には、その、心に決めた方がいます。その方と、先日ようやく恋人同士となれました。ついては、もうこれ以上、殿下の婚約者選定のためのお茶会には、出席できません。」

 プルプルと震えながら顔を上げると、殿下はにやり、と笑って私を眺めている。

「で、殿下?」

「あ、あぁ、そうか、心に決めた方ねぇ、その相手は、どういった人なの?」

「はい、あの、名前は言えませんが、とても優しい方です。私を包み込むような、いつも明るくて、その。私の存在を愛おしんでくれるような方で、私はとても安心できるんです」

「ふーん、そうなんだね。で? もっと聞かせてくれるかな?」

 どうしてだろう。殿下は私がどうしてウィルティム様を好きなのか、どこがいいのかを興味深そうに聞いてきた。

 納得して諦めて欲しい私は、必死になって説明する。

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