嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
「またお前か、いいところだというのに。何故止める」

 少し不機嫌な顔をした殿下がチャーリー様を見るのと同時に、私の顎から手を外した。
よかった、またチャーリー様に助けられた。

「皆が注目していますよ。殿下、お話があるようでしたら、後日改めて席を設けた方がよろしいかと」

 そうですね! こんな大勢の人の前で、私は長々と殿下と話をしていました。
殿下は他の令嬢達と交流する時間を持つはずが、これでは私が独占しているようなものです。

 あぁ、イザベラ様の般若のお顔が、更に魔王のようになっている、ような。

私、ライフZEROですわ

「それもそうか、わかった。リアリム嬢、また恋人の話を聞かせて欲しい。それに私も、話がある」

 そう言った殿下は、さっと向きを変えるとイザベラ様達のいる方向へ歩いて行った。

あ、よかった、イザベラ様のお顔が天使に戻られている。
あの魔王のようなお顔を殿下が見たら、一瞬で恋も冷めてしまいますからね。

「チャーリー様、ありがとうございました」

 まだその場に残っていたチャーリー様に、私は挨拶をした。

「いえ、お困りのような顔をされていましたので。全く、殿下も遊んでいないで、早く止めを刺せばいいものを」

 最後の方は、小さな声で呟くように話していた。
私は聞き間違えてしまったのだろうか。止めを刺すって誰が? 誰に?

「はい? あの、何か?」

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