嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
「本当は、絵描きになりたかったんだよ、まぁ、転生前は無理だったけど。今の世界なら、絵を描くことに没頭できるからさ。王子といっても、優秀な兄上がいるし。僕はひっそりと絵を描いて生きて行こうと思って、さ」

「まぁ、その、やりたいことをやるのはいいけど。でも、一応この国の王子なんだから、しっかりした格好をして」

「はいはい。リアに言われたら、仕方ないな。ねぇ、もっと話がしたいから、そうだ、本当に絵のモデルになってよ。そうすれば、宮殿に頻繁に来る理由になるでしょ」

「まぁ、そうね。私ももっと話がしたいし」

「うん、すごい、リアがヒロイン! すげぇ、じゃ、僕の推しカプの王太子ルートで! ウィルストン殿下との熱い夜を過ごしてくれ! できたらのぞき見させてくれ!」

「断る」

 なんてことを言うんだ、のぞき見させてだなんて。
それに頼むから、私とウィルストン殿下をくっつけないでください。

「私、もう好きな人がいるの。できればその方と、難しいかもしれないけど、一緒になりたい、の」

 口に出してみても、やっぱり難しそうで悲しくなる。
結局、今日もウィルストン殿下に断ったつもりだけど、何故か次に会う約束をさせられている。

「そっか、リアも、大変そうだな、でも、きっとゲーム補正があるから」

 何かまた、ぶつぶつと言い始めている。

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