嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
「ちょっと、そろそろ時間だから、今日は帰るね。また時間をみつけて、ゆっくり会おう、ね」

「うん。そうだね、リア。今度はもっとゆっくりと話したいね」

「私もだよ。あっ、そうだ! 今の世界では身分があるから、二人きりの時以外、私は殿下って呼ぶからね」

「わかった。僕もなるべくリアリム嬢って呼ぶようにするよ」




 こうして、私の嵐のような一日が終わった。結局、ウィルストン殿下は何故か諦めてくれなかったけれど、弟だったユウ君に再会できた。まぁ第二王子ってところが微妙だけど。

家に着いた私はすぐに、自分の寝室のベッドにダイブしてしまった。

段々と複雑になっていく私の世界。どうか平凡な結婚ができますように。

祈る私の願いは、けして難しいものではないと思うのだけど、なぜかそれはとてつもなく難しいミッションのように感じるのであった。




 
「ふっ、くく、く」

「ウィルストン殿下、ご機嫌ですね。でしたらこちらの書類を」

「チャーリー、お前は。私が浸っている時間くらい、邪魔をするな。全く、いつもお前に邪魔をされてばかりだから、何も進展しなかったではないか」

 少し眉を寄せながらも、ウィルストン殿下は書類をさばいていく。王宮の、殿下の執務室では私と殿下の二人だけになっていた。朝から、顔を緩めていてどうやら集中できていない。

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