嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
「で、殿下。ミンストン伯爵令嬢は了解していただけたのでしょうか? 婚約の方を進めさせていただいても、よろしいですか?」

「あ~、それだけど、な、ちょっと待ってくれ」

「はい?どうしましたか?殿下」

「いや、このおかしな状況も面白くなってきた。王子である私との婚約を止めるため、騎士である私と付き合い始めたリアリムがな、こう、可愛くて」

 頬をポッと赤く染めた殿下は、普段は決してみせない恋する男の顔をしている。

「この前などは、王子である私に、騎士である私の好きなところを切々と説明する様など、本当に、食べてしまおうかと思うほど可愛かったぞ」

「殿下、顔がアホになっていますよ。蕩けすぎです。というか、そこまで言われるなら早く婚約してください」

 殿下のお心が決まっているのであれば、もう強引に進めてしまえばいいものを、と思いつつも、あくまでも殿下はリアリム嬢の想いを大切にしているか、ただ単に面白がっているのか。後者かもしれない。

「リチャード、まぁ、そう言うな。私も時期を見て、きちんとプロポーズするから。そうだな、ロマンチックなところがいいかな」

 いかん! また殿下の頭がお花畑になっている! こうなると、仕事がはかどらなくなるから、気をつけないといけない。

「殿下、あと、一つ気になる報告が上がっています」

「ん? なんだ? リアリムのことか?」

< 63 / 197 >

この作品をシェア

pagetop