嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
「もう、覚えていないよ。それに、今の私は平凡主義者なの。平凡が一番、平和が一番!」

「ふーん、そうなんだ」

 ユウ君はしばらく考えるように、持っていた絵筆を止めた。

「兄上と結婚したくないんだったら、いっそ純潔を捨てたら? その、ウィルティム様だっけ? その人に頼んで、一発やっちゃいなよ」

「は、はぁぁ~?」

 なんだろう、真面目な話をしていたと思うのだけど、ユウ君、今、貴方は何と言ったのですか?

「一発、やっちゃいな。で、純潔ではありませんとか言えば、流石に王族に嫁ぐことはできないでしょ」

「で、でも、そ、その後が、怖い」

 そう、純潔を失った伯爵令嬢にまともな結婚など来ない。

「え? 売れ残ったら僕が貰うし、それに、多分大丈夫だよ。ヒロインだからさ、実はリアリムはモテモテなんじゃない?」

「そ、そうかなぁ、普段は、声なんてかからないよ」

「それは、多分、そのイザベラって人の腰ぎんちゃくだからだよ。いいも悪いも、イザベラが邪魔している」

 ドキッとしてしまう。確かに、どんな夜会でもイザベラ様の後ろにいたから、ダンスとかにも誘われにくかったし、

「と・に・か・く。兄上と結婚したくないんだろ? で、その騎士様が好きなんだろ? いいじゃん、転生前にも付き合っていた奴いたから経験したことあるよね? もう捨てちゃいな!」

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