嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
「殿下。ここは廊下ですよ、わきまえてください。さ、次の予定が詰まっていますから、逃げないでくださいね」

 そう言うと、チャーリー様はウィルストン殿下の腕を引いて進み始める。

「うぉっ、チャーリー、お前っ、あと少しだったんだぞ、少しは空気を読め!」

「そんな発情した猿でもあるまいし、王宮の廊下でがっつかないでください」

 そんな冗談のような軽口を言い合いながら、二人はその場を離れようとした。

「リ、リアリムっ、次に王宮に来るときは、私と会うようにっ!それがアトリエに行く条件だっ」

 そう叫びながら、ウィルストン殿下は引きずられるようにして行ってしまった。





(び、びっくりした!)

 二人が見えなくなるまで見送ると、私はその場にしゃがみこんだ。

 あと少しで、ウィルストン殿下のキスを受けてしまうところだった。あの時、私は拒んではいなかった。そのことが恐ろしかった。

(ま、まさか、私。いや、そんなことないよ、私が好きなのは、ウィルティム様だから、)

 けして私は流されやすい性格でも、チョロインでもない。でも、さっきは殿下を押しのけることができなかった。

(私って、どうしよう。こんなにもフラフラするなんて、)

 次にウィルストン殿下に迫られたら、避ける自信がない。避けなければ、きっと婚約者に選ばれてしまう。

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