嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
 恐ろしい予感に、私は先ほどの計画を思い出す。やはり、婚約者選定から逃れるためには、一発ヤルしかない。

 大きく息を吸って、そして吐いた。覚悟を決めた私は、スッと立つとまずは家に帰るために馬車乗り場の方向へ進んでいった。





「ねぇ、ディリスお兄様。騎士団の皆さんが良くいく居酒屋って、あるの?」

 いつものように、焼き菓子を持ってきた私は休憩時間のお兄様を捕まえることができた。

「ん?あぁ、あるにはあるが、なんだ、今度は酒場に興味があるのか?」

 そう言いながら、お兄様は今日のマドレーヌを美味しそうに頬張っている。

「どんな所にいくのかなぁって。ね、私も行ってみたいって言えば、連れて行ってくれる?」

 そう言った途端、ディリスお兄様はごふっと言って咳き込んでしまう。

「そ、それは、難しいかな、よっぽど女性冒険者とかなら、行くかもしれないが、な、」

「ふーん、そうなんだ。女性冒険者ねぇ」

「お兄様が行ったお店で、一番騎士様に流行中のお店って、どこ?」

「そうだなぁ、居酒屋なら、やっぱりマミーエルの店だな。あそこの焼き鳥は美味い。エールも美味かった」

「そっか。マミーエルね」

 にこっと笑った私は、そう言えば、といってあの人を探す。

「どうした、ウィルティムなら、最近は忙しそうだから、こっちには来ていないぞ」

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