嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
 ウィルティム様も、ここまでして騎士の矜持を保ちたいんだね~、やっぱり私の選んだ人は素晴らしい人だ。これがあれば、私の純潔を散らした責任を果たせなくても、それはミンストン伯爵の許可がでなかっただけで、ウィルティム様の責任にはならない。

 この紙が彼を守ることになるのであれば、、と思い私は思いきって指にチョンと傷つけ、血を垂らして指を押す。私のフルネームも書き記した。

「おーい、親父、ここの見届け人のところに署名を頼む」

 なんと、ウィルティム様は隣の机で陽気に酒を飲んでいたおじさんを捕まえて、署名を頼んでいた。

「お嬢ちゃん、大丈夫かい?」
 
 陽気なおじさんは、署名をする前にちょこっと私の顔を見た。

「へへっ、もちろんです! ウィルティム様と結婚出来れば、こんなにも嬉しいことはありませんっ!」

 完全に酔っ払いの私は、惚気にも近い言葉を平気で叫んでいた。

「じゃぁ、遠慮なく署名しておくからね。グッドラック」

 おじさんは署名すると、何かをぶつぶつと唱えて、それから親指をぐっと立てた。

 ウィルティム様はおじさんと何かおしゃべりした後、その書面を大切そうにしてカバンに入れた。

「さ、リアリム、行くよ」

 ほわっとしてた私の手をとったウィルティム様は、ガタっと音をたてて椅子から立ち上がりそのまま出口に向かう。

「へっ、え? ど、どこに行くのですか~」

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