嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
 でも頼むから、ここでその話は恥ずかしい。今いる場所はユウ君のアトリエなのだ。傍にはチャーリー様もいる。

「だが、私の招待では来なかったのに、ユゥベールの誘いであれば、こうして来るのか? ん?」

 あ、ダメ。また黒っぽくなり始めている。

 はっとしてユウ君を見ると、なんと私と殿下が二人でいるところをガン見している。

「ユ、ユウ君?」

「リア、またユゥベールのことをユゥクンだなどと、お仕置きされたいのか?」

「ひえっ、で、殿下! す、すみませんっ、そのっ」

 言い訳も何もでてこない。ワタワタしていると、そんな私を見たユウ君が叫んだ。

「兄上っ、リアっ、しばらくっ、しばらくそのまま!」

 いきなりスケッチブックを取り出して、私たちを怒涛の勢いでスケッチし始めた。「すげぇ、イイ、推しカプやべぇ」と、何か不穏なことを言いながらも一心不乱に絵を描いている。

 そんなユウ君の姿を見たウィルストン殿下は、彼に伝えるように話す。

「ユゥベール、お前、本当に、何の下心もないのだな。リアリムに触れた場合、その手に絵筆を持てなくなると思えよ」

 さすがにその言葉にはぴくっと反応して、「はいっ、決して、決して触りませんっ! だから、描かせてください」と懇願している。

「仕方ない、リア、立っているのは大丈夫か? 腰を悪くしているのではないか?」

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