毎週水曜日は青空甘恋クレープ日和
「――で、連絡先。……ダメ?」

 聞かれた私は「だっ、ダメに決まってますっ!」と〝心にもないこと〟を言ってしまった。

(本当はすぐにでも交換しちゃいたいです!)

 そんな本音を押し隠している私に、

「えー。ダメなん? 実迦ちゃんと話すの楽しいし、俺、もっと仲良くなりたかったんだけどなぁ。はぁ〜。残念」

 どこまで本気か分からないけれど、しゅんとしたお顔をする彰久さんに、私は胸がキュッと苦しくなって。

 一生懸命虚勢を張りながら、余裕ぶって提案してみる。


「彰久さん。毎週水曜日にはここで出店していらっしゃるんですよねっ? わ、私っ、頑張って水曜日はノー残業デーにしますのでっ。それでどうでしょう?」

 私、元々甘いもの大好きだし、お、〝お友達として〟売上に貢献するだけ。
 それだけです。
 他意はありません。

「約束?」

 スッと小指を差し出されて、ものすごくドキドキしながら、素知らぬ顔でその指に自分の小指を絡ませた。

 彰久さんの小指は私の中指よりも大きくて……その男らしい堂々とした手に、心臓が口からお出かけしていまいそうなくらい暴れ回る。

 ひー、私っ! いまにも昇天してしまいそうです!
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