八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
 一瞬ビクッとなるけど、わたしはゆっくりうなずいた。

「椿くんは、どう思う?」

 なぜか、となりにいた椿くんに矛先(ほこさき)が向く。

「俺は賛成です。碧にいてほしい。ずっと、一緒にいたいです」

 聞いていて、カァーッとお風呂でのぼせたみたいな顔になる。嬉しいけど、恥ずかしい。

「あらやだ、それプロポーズ?」

「ち、違うでしょ! お母さんってば」

 慌ててツッコミを入れるけど、椿くんは平然としている。

 否定しないと、お母さんがとんでもない勘違いをしちゃうから!

「あおいは、みんなから愛されているのね。お母さん、うれしい」

 ギュッと抱きしめられて、じわりと目頭が熱くなる。
 泣くつもりなんてないのに、どうしてだろう。

「椿くん、琥珀くんも藍くんも。もうしばらく、あおいをお願いしていいかしら?」

 トクントクン。ゆっくり音が大きくなって、わたしを包み込む。

「もちろんです。やったね、アオイちゃん」

「オレは、どっちでも。まあ、いいんじゃない」

 ドアの前に立っている琥珀さんが、小さくピースサインをする。
 藍くんは、相変わらずツンとしているけど、少しだけニッと白い歯を見せた。

 まだ八城家(ここ)にいてもいいの?
 みんなとお別れしなくて済むんだ。

「ありがとう。わたし、みんなのことが」

 言いかけて、体の変な感じにゾワッとした。
 ペタンと胸のあたりに手を当てて、サァーッと青ざめていく。

 イヤな予感は的中した。


 わたし、また男子になっちゃってるーー⁉︎


 まだまだ、ハラハラドキドキな学校生活が続きそう。

                end.
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