八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
「それで隠せてると思った?」

 見下ろす瞳に吸い込まれそうになりながら、小さく呼吸を整えた。

 尋常じゃないくらいドキドキして、心拍数が上がっている。
 完全に体が戻っている。もう、ごまかしきれない。

「ワケあって、男子の姿になってるけど、ほんとは女なの。たまに、戻っちゃう時があって……。このこと、他のみんなには……言わないで」

 ぐっと目をつむって、唇が震えた。

 今のわたしは、男子でも女子でもない。騙していたようなものだから。どんな反応をされるのか、怖くて。

 はあ、と小さく息を吐いたあと、椿くんはわたしを引き起こした。

「気をつけなよ。特に、珀には気を許すな」

「……うん。わかった」

 どうして、琥珀さんなんだろう。優しくて、頼れるイメージだけど。

 首をかしげたら、いいからと言いたげな視線が返ってくる。

「碧、可愛いから。すぐ見破られそう」
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