八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
 結局、なにも買わずに雑貨屋さんを出た。
 少しあとから来た琥珀さんの手に、小さな紙袋が下げられている。

「なにか買ったんですか?」

 もしかして、彼女へのプレゼントだったりして。紳士的なイメージがあるから、さりげなくスマートに渡しそう。

「面白いの見つけて。藍の誕生日にちょうどいいかなって」

 サラッと言うから、スルーしそうになった。

「えっ、藍くん誕生日なんですか⁈」

「うん、明後日ね。さっき偶然思い出して」

 ハハッと笑う琥珀さんから、いつもはお互い何もしないのだと教えてもらった。

 わたしの歓迎会はして、藍くんの誕生日は無視なんてできない。

「あの、琥珀さん。お願いがあるんですが」

「ん、なに?」

「明日の歓迎会、藍くんの誕生日も兼ねてパーティーしませんか?」

 いきおいよく話したわたしに、琥珀さんの透き通った瞳が少しだけ大きくなった。
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