八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
 テンテンテンと丸が続いて、最初に出たのが「だ、誰と⁉︎」だった。

 ルームシェアって、一緒の部屋で生活するってことだよね?
 なんでなんでと、頭の中が小さな子どもみたいな反応になる。

「父さんの書斎を片付けて、そこを使ってもらうつもりなんだけど。何百何千冊と本が積み重なってるから、間に合わなくてね」

 本の山に囲まれて寝るのはイヤでしょ? と言われて、何かの儀式のような絵面を想像しながら、たしかにと納得してしまった。

 でも、一体だれとルームシェアを……。

「ここ、俺の部屋。いろんなの勝手に触るなよ」

 服を着た椿くんがやって来て、どんとベッドへ腰を下ろす。

 表情の変化が少ないからか、威圧感と言うか、ちょっと怖く感じる。

「あ、あの……どちらかと言ったら、(らん)くんとの方が……」

 年下だし、緊張感は兄二人よりは薄れる気がするの。

「は? なんでオレ? ぜってぇやだよ。意味わかんねーし」

 琥珀さんの後ろから、ひょこっと顔を出した藍くんが吠えた。わたしと似たような身長で、なにやら敵対心を持たれているみたい。

 どうしようかと反応に困っていたら、後ろからぐっと腕を引っ張られて。

「俺じゃダメなわけ?」

 落ち着いた声色に、小さく首を振る。

「……いや、そうゆうわけじゃ。よろしくお願いします」

 怒ってるわけでは……ないのかな?

 こうして、まだ掴めない彼らとの同居生活がスタートした。
< 6 / 160 >

この作品をシェア

pagetop