魅了たれ流しの聖女は、ワンコな従者と添い遂げたい。
◆◆◆


(アイリ様、ご立派ですーーー!!!)

 アイリ様は責任を感じてうつむいておられたかと思ったら、ご自分にできることがあると知ると、心を決めた様子ですっと顔を上げられた。
 その凛として美しい横顔にうっとりする。
 引っ込み思案なアイリ様が勇気を振りしぼっている様に感動して泣きそうだ。
 
(でも、全然、アイリ様のせいではありませんから!)

 魅了魔法だったり、呪いだったり、簡単にかかる方が悪いのだ。
 っていうか、王太子は不甲斐なさすぎじゃないか?

 エブリア嬢の調査によると、アイリ様の魅了魔法はどうやら魔力が強い方がかかりやすいようで、要人が軒並みやられているらしい。
 だから、魔力のない俺は平気だったのか。
 まぁ、そんなものがなくても俺はアイリ様にメロメロだけどな。

(それにしても、この国って今、ヤバい状態じゃないのか?)

 浄化はアイリ様に任せるとして、エブリア嬢は公爵と王太子に呪いをかけた黒幕を探すことにするそうだ。
 さっさと捕まえて、アイリ様が巻き込まれないようにしてもらいたい。

 勇敢なそぶりを見せたアイリ様だったが、やはり不安だったようで、寝るときには、犬姿の俺を抱きしめ、撫で回した。
 
(アイリ様ーーー! うれしいけど、うれしいけど、ツライですぅぅぅ!!!)





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