華夏の煌き
「でも殿下は気さくな方だな」
徐忠弘は王太子である曹隆明が高圧的でも、傲慢そうでもない温和で寛容な態度に感心しているようだ。
「うん。僕もそう思う。王族とはそういう方が多いのかな」
星羅の素朴な疑問に郭蒼樹は首を振る。
「いや、誰とは言わないが傲慢と高慢でできている王族も多い」
「さすが軍師家系だな。よく知ってるんだな」
「まあ親父や祖父から色々聞かされているしな」
「それでよく軍師になろうと思ったね」
「ほかに思いつかなかっただけだ」
郭蒼樹にとって軍師になることは、普通に生活をすること変わりないことのようだ。
「僕はもっと精進して軍師になって殿下にお仕えしたい」
「そうだな。俺もそう思うよ」
「うん、殿下にならお仕えする甲斐があるというものだな」
三人は同じ意見を持った。緊張が解けると「それにしても星雷は女みたいな悲鳴を上げるよな」とからかい始めた。
「そうだな。軍師たるもの些細なことで動揺しないほうがいい」
「ちょ、ちょっとびっくりしただけだって。大げさに言わないでくれよ」
「じゃ、続きやろうぜ」
「そうだな」
また軍略の続きを練り戦うことを始めた。誰も戦争を望む者はいないが、戦うことを適当にないがしろにすることはしなかった。気づかないうちに三人は戦略だけでなく、心理の駆け引きにも長けていくようになっていった。
54 香り
隣で眠る、花の香りの高い側室の申陽菜に背を向けて、今日、軍師省で思わず抱き寄せた朱星雷を思う。まだ若い青年のためか、抱いた感覚は柔らかく軽く華奢だった。一瞬のことだったが、星雷からスパイシーな香辛料の香りが漂った。中性的な雰囲気で透明感があり、かわいらしさもある。そして胡晶鈴によく似ていた。
「不思議な子だ……」
晶鈴に思いを馳せる。彼女もとらえどころのない不思議な人物で、隆明をそっと薄絹のように包み込んでくれていた。
ただ、今にして思えば、晶鈴は自分を受け入れてくれていたが、彼女が自分を求めたことはない気がする。晶鈴を自分のものにしてしまいたいと若かった隆明は男の欲望を彼女にぶつけてしまった。その劣情を彼女はそっと受け止めた。
「あれが母性だろうか……」
徐忠弘は王太子である曹隆明が高圧的でも、傲慢そうでもない温和で寛容な態度に感心しているようだ。
「うん。僕もそう思う。王族とはそういう方が多いのかな」
星羅の素朴な疑問に郭蒼樹は首を振る。
「いや、誰とは言わないが傲慢と高慢でできている王族も多い」
「さすが軍師家系だな。よく知ってるんだな」
「まあ親父や祖父から色々聞かされているしな」
「それでよく軍師になろうと思ったね」
「ほかに思いつかなかっただけだ」
郭蒼樹にとって軍師になることは、普通に生活をすること変わりないことのようだ。
「僕はもっと精進して軍師になって殿下にお仕えしたい」
「そうだな。俺もそう思うよ」
「うん、殿下にならお仕えする甲斐があるというものだな」
三人は同じ意見を持った。緊張が解けると「それにしても星雷は女みたいな悲鳴を上げるよな」とからかい始めた。
「そうだな。軍師たるもの些細なことで動揺しないほうがいい」
「ちょ、ちょっとびっくりしただけだって。大げさに言わないでくれよ」
「じゃ、続きやろうぜ」
「そうだな」
また軍略の続きを練り戦うことを始めた。誰も戦争を望む者はいないが、戦うことを適当にないがしろにすることはしなかった。気づかないうちに三人は戦略だけでなく、心理の駆け引きにも長けていくようになっていった。
54 香り
隣で眠る、花の香りの高い側室の申陽菜に背を向けて、今日、軍師省で思わず抱き寄せた朱星雷を思う。まだ若い青年のためか、抱いた感覚は柔らかく軽く華奢だった。一瞬のことだったが、星雷からスパイシーな香辛料の香りが漂った。中性的な雰囲気で透明感があり、かわいらしさもある。そして胡晶鈴によく似ていた。
「不思議な子だ……」
晶鈴に思いを馳せる。彼女もとらえどころのない不思議な人物で、隆明をそっと薄絹のように包み込んでくれていた。
ただ、今にして思えば、晶鈴は自分を受け入れてくれていたが、彼女が自分を求めたことはない気がする。晶鈴を自分のものにしてしまいたいと若かった隆明は男の欲望を彼女にぶつけてしまった。その劣情を彼女はそっと受け止めた。
「あれが母性だろうか……」