華夏の煌き
朱家は華夏国の商人とも先祖代々関わりがあり、漢字の名前も持ち、更に華夏国の漢民族に性格も近い。外見は、浅黒い肌に彫の深い顔立ちをしている、西国の紅紗那族そのものなのに、まとう雰囲気が漢民族だ。この国の官窯ですっかり打ち解けている彼はますます華夏国民として溶け込んでいる。京樹もそうだ。
京湖は紅紗那族らしく、人との距離が密接だ。華夏国で生まれ育ち、太極府に勤めていると、京湖があまりにも物理的に近くにいることに息子であるのにぎょっとすることがある。彼女はすぐに抱擁し、肩や腕や指先にすぐ触れようとする。星羅が男装をする前は、彼女の美しい毛先をよく指先に絡めたりしていた。
星羅は京湖の影響か、それとも兄だと思って接しているのか京樹に対する距離が近い。何か書き物をしているとすごく近くに顔を寄せてくるので、ドキッとしてしまう。
「そろそろ西から隊商がやってくるらしいから、香辛料が手に入るよ」
「そうなの! 嬉しいわ。手持ちが少なくなってしまって」
キャラバンの運んでくる西の香りを、京湖は心から毎年待ち望んでいる。漢服を着て、肌に白い粉をはたきキャラバンのもとへ買い付けに行くたびに、西国の様子を京湖は尋ねる。あまり情勢に変化はないようだが、じわじわと税金が重くなっているらしい。西国からきたキャラバンに向ける懐かしそうな眼を見ると、京樹は帰りたいのだろうなといつも思った。
数年のうちに、京樹も星羅も自立するだろう。その時に、帰らせてやれるものなら京湖を西国へ帰してやりたいと願っている。
「父様も知ってるかな」
「官窯でも聞いているんじゃないかしら。毎年、隊商から絵付けにつかう顔料を買っているようだし」
「最近、町でもみかけるよ。青花の器を」
ここ数年、白磁に青い染付をする手法が始められ、輸出もされるようになっている。玉のような真っ白い肌に、中華独特の文様や、風景、植物などが描かれており外国ウケが良かった。
「綺麗だけど、ちょっと硬くて冷たい気がするわ」
「そう」
少し寂しそうな眼をする母に「いつかまた父様の器を使えるよ」と同情した。
「そうね。じゃあもうおやすみなさい」
京湖は紅紗那族らしく、人との距離が密接だ。華夏国で生まれ育ち、太極府に勤めていると、京湖があまりにも物理的に近くにいることに息子であるのにぎょっとすることがある。彼女はすぐに抱擁し、肩や腕や指先にすぐ触れようとする。星羅が男装をする前は、彼女の美しい毛先をよく指先に絡めたりしていた。
星羅は京湖の影響か、それとも兄だと思って接しているのか京樹に対する距離が近い。何か書き物をしているとすごく近くに顔を寄せてくるので、ドキッとしてしまう。
「そろそろ西から隊商がやってくるらしいから、香辛料が手に入るよ」
「そうなの! 嬉しいわ。手持ちが少なくなってしまって」
キャラバンの運んでくる西の香りを、京湖は心から毎年待ち望んでいる。漢服を着て、肌に白い粉をはたきキャラバンのもとへ買い付けに行くたびに、西国の様子を京湖は尋ねる。あまり情勢に変化はないようだが、じわじわと税金が重くなっているらしい。西国からきたキャラバンに向ける懐かしそうな眼を見ると、京樹は帰りたいのだろうなといつも思った。
数年のうちに、京樹も星羅も自立するだろう。その時に、帰らせてやれるものなら京湖を西国へ帰してやりたいと願っている。
「父様も知ってるかな」
「官窯でも聞いているんじゃないかしら。毎年、隊商から絵付けにつかう顔料を買っているようだし」
「最近、町でもみかけるよ。青花の器を」
ここ数年、白磁に青い染付をする手法が始められ、輸出もされるようになっている。玉のような真っ白い肌に、中華独特の文様や、風景、植物などが描かれており外国ウケが良かった。
「綺麗だけど、ちょっと硬くて冷たい気がするわ」
「そう」
少し寂しそうな眼をする母に「いつかまた父様の器を使えるよ」と同情した。
「そうね。じゃあもうおやすみなさい」