カタストロフィ

絶頂 ⭐︎


ハッハッと浅い呼吸を繰り返し、すっかりとろけた目でぼんやりと天井を見上げるユーニスは恐ろしく色っぽい。
そんな表情を引き出せたことに満足し、ダニエルは再びユーニスの秘所に顔を埋めた。
いまだビクビクと痙攣するそこを舌先で包みながら、かつてのパトロン達に教わった通りに彼女の反応を盗み見る。

人によっては一度絶頂を迎えると熱が鎮まってしまい再び盛り上がるまでに時間がかかるのだ。

「んあっ、ああぁ」

反応が鈍くなるどころかますます敏感になっているのを確かめ、ダニエルは慎重に中指を埋めた。
指先から伝わるこの熱さは、いずれ己の陽物を包み込むのだ。
そう妄想しただけで、先端がジワリと濡れるのがわかった。

舌での愛撫はそのままに、文字通り手探りでユーニスが悦ぶ場所を探す。
程なくして探り当てたそこは、彼女の理性をさらに遠くへ吹き消した。

「も、だめ、許してぇっ!!おかしくなる!これ以上されたら、もう」

息も絶え絶えにシーツにしがみつき豊かな身体をくねらせる積年の想い人の姿に、一瞬ダニエルは意識が飛びそうになった。
愛する人の乱れた姿の、なんと美しいことか。

グチャッと卑猥な音をわざと立てて、花園を犯す指を増やす。
忘我の心地でうっとりと目を細め、ダニエルは甘く囁いた。

「もうすでにおかしくなっているよ。だってほら、こんなにグショグショに濡らしてる。君がとっくに理性を失くして気持ち良くなっている証拠だ」

「ち、ちがっ」

「違う?ユーニス、今さら見え透いた嘘なんかつかなくったっていい。ああでも、君は強情だからなぁ。身体に訊いたほうが早いか」

少し意地悪く尋ねたその瞬間、ユーニスの全身が大きく跳ね上がり、ダニエルの指をグニグニと締めつけた。
行き過ぎた快楽により最早声も出ないのか、異様な熱を孕んだ荒い呼吸だけが寝室に響いた。


(……潮時だな。賭けるなら、ここだ)


ガウンと夜着を手早く脱ぎ捨て、ダニエルはユーニスに再び覆い被さった。

「ユーニス、僕の宝、君を愛している。君の意思なんか関係なく抱こうと思っていたが、やはり無理だ。君が僕を求めてくれなければ、抱くに抱けない」

蕩け切った頭に少しずつ理性が戻ってきたのか、ユーニスは薄いグレーの瞳を大きく見開いた。

「君の気持ちを教えて欲しい。もし〝ノー〟というのであれば、僕はもう今後一切君に手出しはしない。潔く諦めるし、なんなら今夜のことを警察に訴えてくれて構わない。君の心と身体を傷つけた罪を、牢獄で贖おう」

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