ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
後続の馬車にはシャーロットと二人の侍女が乗っていた。

「あなたがあの時魔獣に襲われた方でしたのね!」

「はい」

 侍女とはいえ二人は伯爵家の御令嬢である。身分の低い私はずっと下を向いたまま話をしていた。

「まぁ、そんなに畏まらなくてもいいのよ、そうだ、飴でも食べない?」

 侍女はハチミツ色の飴を私に手渡した。美味しいのよ? 食べてみて、と侍女達が先に口にしてみせる。私も折角なので食べることにした。

飴は甘くてほんのりレモンの様な味がする。

「美味しいです」
「そうでしょう?」

侍女達は優しい笑顔を見せた。

「あなた、オスカー様に助けて頂いたのでしょう?羨ましいわ」
「……オスカー様?」
「あら?そうよ、落ちていくあなたをオスカー様が抱き留められて、それはもうステキだったのよ! その後、エスター様に託されたのよ」

「そうだったのですか……」

じゃあ、あの時見たのはオスカー様だったのか……はぁ、兄弟揃ってカッコいいなんて……


「その後はオスカー様が魔獣を倒されたけれど、マリアナ王女様はエスター様ばかりでしょう?あなた……随分と目をつ……ている………わよ?」

…………あれ?

「そう……よ、あなた……を………つ…………… 」


 だんだんと侍女達の声が遠くなっていく。

視界もボヤけて、彼女達が見えなくなって来た。

…… どうして?…………あ、まさか

…… 飴に……何か………
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