ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます

竜獣人の体力は

エスターを待つ様にと言われた隣の部屋は、壁掛けの明かりが灯され、室内を仄かに照らしていた。

 ここは彼の部屋なのだろうか……青を基調としたカーテンや絨毯が敷いてあり、壁には剣が掛けてある。作り付けの本棚は半分程埋まっていた。家具はダークウッドで統一されていて、部屋の中央には、一人掛けのソファーに丸い小さめのテーブルが置いてある。

 窓際に大きめのベッドとサイドテーブルがあり、その上に、サラ様から渡された回復薬入りの箱が置いてあった。

( 回復薬はエスターの物だったのね、そうか……彼は騎士だから。魔獣討伐は大変なお仕事だもの、疲れるよね……)
 
 私はベッドの近くの出窓から外を眺めて彼を待つことにした。

 この部屋は三階にあり、離れの様になっている。本邸は一つ下の渡り廊下の先に見えていた。さすが、レイナルド公爵邸だ、まるでお城の様に広い。

昨日まで、ディーバン男爵家でメイドをしていた私が、今ここにいるなんて、信じられない……。
( それも、エスターの『花』なんて……)


 さっき、カミラさんはエスターは怒らないと言ったけれど……怒ったよね?
北の塔で、名前呼んでって子供みたいに怒ってた。

名前……
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