不遇な転生王女は難攻不落なカタブツ公爵様の花嫁になりました
物の価値に(うと)いソフィアでもわかる高そうなドレスだ。

生地は光の加減で微妙に色を変え、リボンやレースがふんだんにあしらわれている。

襟元に縫い付けられているのは本物の真珠だろうか。

大粒の真珠が、一、二……八個もある。あれ一個で何か月も食べていける気がする。

すごいなあと思っていると、ドレスの検分を終えたメイドが「既製品だからこんなものね」とつぶやいた。

まるで期待外れだったような発言にソフィアはギョッとする。

「お嬢様はもっと可愛(かわい)らしいものが似合いそうですけど、仕方ありませんね」

そう言いつつ、メイドふたりがソフィアのバスローブをはぎ取った。どうやらあの高そうなドレスをソフィアに着せるつもりらしい。

(いやいや、あんな金持ちのお嬢様みたいな服、絶対に似合わないから!)

ソフィアは慌てるも、人の世話に慣れているメイドはソフィアの抵抗などものともせず、ソフィアにドレスを着せて絨毯の上に立たせると、ぐるりと彼女の周りを一周して(うなず)いた。

「丈は大丈夫そうですね。襟元もウエストもリボンで調節できるようですし」

「これだけ細ければコルセットも必要なさそうですね。さ、次は髪を整えましょう。失礼ですが顔色が優れませんので少しお化粧したいのですけど、化粧品でお肌が荒れたことはありますか?」

荒れるもなにも化粧品自体使ったことがない。

ソフィアが戸惑いつつも首を横に振れば、メイドに促されてドレッサーの前に座らされた。

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