不遇な転生王女は難攻不落なカタブツ公爵様の花嫁になりました
オリオンの襟をさらに締め上げようとしたソフィアの手を、オリオンはやんわりと引きはがす。

「いい? よく考えて見なさいよ。あんたが今記憶を取り戻したのは、むしろラッキーってもんよ。ゲームがはじまるのはあんたとキーラが十八歳の年の秋。あと四年もあるのよ。ゲームがはじまる前になんとかすれば、そもそもあんたが悪役令嬢ポジでスタートしないかもしれないでしょ。それにたぶんだけど、この世界、ゲームといってもゲームとは完全に一致してないと思うわ。だって、国王陛下、あんたに激甘じゃない。ゲームはそこまでじゃなかった気がするわよ」

「それは……まあ」

言われてみれば、グラストーナ国王は十四年間も離れて暮らしていたソフィアにとても甘い。溺愛している。

ゲームの設定資料集には『市井で生まれ育ったソフィアのことを憐れんでいる』としか書かれていなかった。

(それに、よく考えてみたらランドールの両親も生きているのよね)

ゲームの設定では、ランドールは早くに父を亡くし、公爵家を継いだことになっていた。

だが、三か月前にヴォルティオ公爵家でメイドから聞いた話だと、前公爵であるランドールの父親は隠居したとのことで、逝去したのではないのだ。

隠居した際に王位継承権まで放棄したため、繰り上がりでランドールが王位継承権二位に浮上しているという。
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