アンドロイド・ニューワールドⅡ
改めて、私は進み出しましたが。

…先程から。

奏さんが、いやに静かです。

大丈夫でしょうか。

「奏さん、CQCQ」

「…」

と、奏さんは無言です。

まるで、私の声が聞こえていないかのようですね。

本当に大丈夫でしょうか。

「奏さん!」

「うわっ!はいっ!」

と、奏さんはびくりとして、返事をしました。

良かったです。聞こえてはいるようですね。

暗闇で目が見えづらいどころか、耳まで聞こえなくなってしまったのかと、心配になったところでした。

「ど、どうかした…?」

「それはこちらの台詞です。どうかしましたか、奏さん」

「え、な、何が?」

「先程から妙に静かで、しかも随分心拍数が増えているようですが。何かありましたか?」

と、私は尋ねました。

すると。

「何かって…。瑠璃華さんも聞いたでしょ?さっきのサイレンと放送…」

「はい。私達が追われる立場であると、警告してくださるのは有り難いですね。宇宙人お化けというのは、大変良心的な生き物なのだと思いました」

「なんて前向きな解釈なんだ…。あと、死んでるから生き物ではないと思う…」

「そうですか」

と、私は言いました。

それもそうですね。

「何が出てくるか分からなくて、俺は心臓が止まりそうだよ…」

「ご安心ください。その時は、私が蘇生します。私には小型除細動器が搭載されているので、それを使って心臓マッサージを施し、更に人工呼吸を…」

「分かった。絶対に、心臓だけは止まらないよう頑張るよ」

と、奏さんは言いました。

良い心意気です。

その調子で行きましょう。

…と、思っていると。

私の視界の先に、何か、怪しげなものが見えました。

「ん?あれは何でしょう、奏さん」

「え、ちょ何?脅かさないでよ」

と、奏さんは言いました。

私は脅かしているのではなく、警告しているのです。

「何か見えますよ」

「な、何?俺見えないんだけど」

と、奏さんはもどかしそうに言いました。

人間の目では、もう少し近づかなければ見えませんか。

では、もう少し近づいてみましょう。
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