アンドロイド・ニューワールドⅡ
警告のお陰で、2017番は大人しくなりましたが。

「…」

と、碧衣さんは、2017番に対する敵意を解いていませんでした。

碧衣さんの条件付けは、私や2017番に比べて弱い可能性があります。

と言うより、紺奈局長関連に関してのみ、条件付けが発動しないのかもしれません。

散々碧衣さんを下に見ていた2017番ですが、そういう意味では碧衣さんの方が優秀です。

誰が誰より優秀だとか、優秀ではないとか、あまりそのようなことは言いたくないのですが。

しかし。

「いずれにしても、私はあなた方に負けるつもりはありません。特に1027番、必ず、あなたより先に人間の感情を学習してみせます」

と、相変わらず2017番は言いました。

落ち着いた様子ではありますが、自信に満ち溢れた様子でもあります。

条件付けが発動していても、これですから。

これはもう、2017番古来の性格なのでしょうね。

もとから、彼女はそうでしたから。

第1局の局長である、橙乃局長によく似ています。

「今日は、それを宣言しに来ました。用件は以上です」

と、2017番は言いました。

その為に、わざわざ空き巣してまで、私のもとに来たのですか。

「…それから、もう一つ伝えておきますが」

と、2017番は振り向きざまに言いました。

「私の人間としての名前は、橙乃琥珀(とうの こはく)です。今度からは番号ではなく、そちらの名前で呼んでください」

と、2017番…改め。

橙乃琥珀さんは言いました。

彼女も、所属する局の局長の名前をもらったのですね。

では今度からは、番号ではなく…琥珀さんと呼ぶことにしましょう。
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