アンドロイド・ニューワールドⅡ
奏さんを連れて、私は自分の住むアパートに到着しました。

目指すは、アパートの私の部屋…ではなく。

この建物の、屋上です。

…しかし。

「…む、鍵がかかってますね」

と、私は言いました。

屋上に続く扉には、鍵がかかっています。

安普請なアパートですが、一応屋上には、簡単には上れないようですね。

「広い世界って、高いところから見る景色のこと?」

と、奏さんは聞きました。

「その通りです。奏さんは常に座った姿勢からの景色しか見えないので、高いところから、広い視野で世界を見てもらいたいと思いまして」

「あ、成程…。それにしては、アパートの屋上って、そんなに高くないような…。まぁ、でもその辺の建物よりは高いか」

と、奏さんは言いました。

「それに、鍵がかかってるなら無理じゃない?」

「いえ、問題ありません。ただの南京錠ですから、すぐ外れます」

「え?いや、勝手に外しちゃだ、」

と、奏さんが言いかけたときには。

既に、南京錠は外れていました。

鍵開けは、『新世界アンドロイド』の基本ステータスに入っている項目ですので。

電子キーにも対応しています。

大抵の鍵なら、全て開けられますよ。

ちなみにパスワードでしたら、7桁までなら通常モードで開けられます。8桁以上になると、電子戦モードに切り替わることで開けられます。

つまり、『新世界アンドロイド』に、鍵なんてさして意味がないということですね。

「え、ちょ。瑠璃華さん、勝手に鍵開け…駄目でしょ」

と、奏さんは慌てて言いました。

「大丈夫です。後でちゃんと掛け直します」

「いや、そういう問題じゃ…」

「では屋上に失礼します」

「あ、こら」

と、奏さんは言いましたが。

気にせず、私は奏さんの車椅子を押して、屋上に足を踏み入れました。

半年以上住んでいますが、屋上に来たのは初めてですね。

まぁ、用事もありませんからね。

それにしても。

「…結構汚いですね」

と、私は言いました。

吹きさらしになっているせいか、歩く度に砂がじゃりじゃり音を立てていますし。

大きな埃の塊や、鳥の羽根なんかが、汚く散乱しています。

「そりゃ、鍵掛けてるなら、誰も掃除したりしないし…。汚れるでしょ」

と、奏さんは言いました。

成程、そうですね。

いくら屋上を立ち入り禁止にしているとはいえ、定期的に掃除はしておくべきですね。

今度からは、私が定期的に屋上に上って、掃除するとしましょう。
< 432 / 467 >

この作品をシェア

pagetop