アンドロイド・ニューワールドⅡ
「このような、チャチなハサミ一本で、桃と戦うとは…。人間の楽観的思考に、私は絶望しています」
「俺はむしろ、瑠璃華さんの過剰過ぎる危機管理能力の方に絶望してるよ」
「しっ、静かにしてください奏さん。敵が、何処かに潜んでいるかもしれません」
と、私は言いました。
戦いの場が、水辺ではなかったのは想定外でしたが。
私は、どのような状況にも、臨機応変に対応出来る『新世界アンドロイド』です。
木々の生い茂る、さながらジャングルのようなこの戦場でも、見事奏さんを守りながら戦ってみせましょう。
ジャングル戦において、最も警戒すべきなのは、やはり敵のゲリラ戦法ですね。
「油断しないでください、奏さん。敵は、かの凶暴な鬼を倒した男です。気を抜いたら、いつ背中から襲い掛かってくるか、」
「そっかー大変だね。あ、ほら向こう、たくさん成ってるよ」
と、奏さんは棒読みで言いながら、車椅子を押して行ってしまいました。
「お待ちください奏さん。迂闊です」
と、私は言いました。
奏さんを追いかけた先には。
白く薄い紙に包まれた、ピンク色の桃が、たわわに実っていました。
…。
…案外、小さいですね。
「…まだ未成熟の桃なのでしょうか?」
「いや、充分熟してるよ…。これが桃の完成形だよ」
と、奏さんは言いました。
なんと。この貧弱な姿が、桃の真の姿だと言うのですか。
「桃とは、もっと巨大な…恐竜の卵のようなものなのでは…?」
「うん…。瑠璃華さんはあれだね。本を読むべきだと思うよ。多分あるでしょ、あのシリーズ…。『猿でも分かる!桃』とか」
と、奏さんは言いました。
そのような本が存在するのでしょうか。
気になるので、ちょっと脳内で検索してみます。
…はい。
「よく分かりましたね、奏さん。あります」
「冗談で言ったつもりなのに…本当にあるんだ…」
と、奏さんは呟きました。
興味深いですね、この本。
遠足から帰ったら、探して読んでみましょう。
「俺はむしろ、瑠璃華さんの過剰過ぎる危機管理能力の方に絶望してるよ」
「しっ、静かにしてください奏さん。敵が、何処かに潜んでいるかもしれません」
と、私は言いました。
戦いの場が、水辺ではなかったのは想定外でしたが。
私は、どのような状況にも、臨機応変に対応出来る『新世界アンドロイド』です。
木々の生い茂る、さながらジャングルのようなこの戦場でも、見事奏さんを守りながら戦ってみせましょう。
ジャングル戦において、最も警戒すべきなのは、やはり敵のゲリラ戦法ですね。
「油断しないでください、奏さん。敵は、かの凶暴な鬼を倒した男です。気を抜いたら、いつ背中から襲い掛かってくるか、」
「そっかー大変だね。あ、ほら向こう、たくさん成ってるよ」
と、奏さんは棒読みで言いながら、車椅子を押して行ってしまいました。
「お待ちください奏さん。迂闊です」
と、私は言いました。
奏さんを追いかけた先には。
白く薄い紙に包まれた、ピンク色の桃が、たわわに実っていました。
…。
…案外、小さいですね。
「…まだ未成熟の桃なのでしょうか?」
「いや、充分熟してるよ…。これが桃の完成形だよ」
と、奏さんは言いました。
なんと。この貧弱な姿が、桃の真の姿だと言うのですか。
「桃とは、もっと巨大な…恐竜の卵のようなものなのでは…?」
「うん…。瑠璃華さんはあれだね。本を読むべきだと思うよ。多分あるでしょ、あのシリーズ…。『猿でも分かる!桃』とか」
と、奏さんは言いました。
そのような本が存在するのでしょうか。
気になるので、ちょっと脳内で検索してみます。
…はい。
「よく分かりましたね、奏さん。あります」
「冗談で言ったつもりなのに…本当にあるんだ…」
と、奏さんは呟きました。
興味深いですね、この本。
遠足から帰ったら、探して読んでみましょう。