望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う

　ただでさえ第三王女に会うのは気が重いというのに、レイモンドの謎の行動がさらに頭を悩ませる。
　とにかく、ただただ時間が過ぎるのを願うばかりだ。

　カレンは憂鬱な三日間を過ごした。多分、酷い顔をしていたのだろう。時折アドニスが「ご気分が悪いのですか？」と声をかけてくれた。ええ、ちょっとね、と笑ってごまかしてみたが、賢いこの義理の弟はそれの原因を察しているのだろう。それ以上は何も言わなかった。

　前日。
　あまりにも憂鬱過ぎて、その憂鬱に押しつぶされそうになってしまったため、カレンは庭へと足を運んだ。
　この庭はいつ足を運んでも、心が落ち着く。様々な色や形の花が咲いているのはもちろんなのだが、なんとも言えない時間が流れている。カレンがお気に入りなのは、この庭の噴水。ドレスが汚れるにも関わらず、かならずここに腰を落ち着けてしまう。ただここにぼーっと座っているだけでいい。何をするわけでもない。