望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 レイモンドは手を離そうとはしない。「必ず私が側にいる。だから、心配するな」

 そう言葉をかけてもらえることが意外だった。意外過ぎて「はい」としか言えなかった。

 馬車から降りるなり、他からの視線を感じた。会場に着くと、それはなおさら。レイモンドを掴んでいる手に、ぎゅっと力が入ってしまった。それに気付いたのだろう。
「大丈夫だ」
 と彼は言う。
「はい」
 とカレンは答えた。弱気になるな、と自分に言い聞かせる。

 パーティはつつがなく進む。

「あら、カレン。とても素敵なドレスね」
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