望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 名前を呼ばれて振り返る。今回の主催者である王太子妃だ。
「ご無沙汰しております」

「あなたの結婚式には出席できなくてごめんなさいね」

「いえ。そのお気持ちだけで十分です」

「そう? あなたは私の()()()()妹なのだから、たまには遊びにいらしてね」

「身に余る光栄でございます」
 カレンの心の中は、早くあっちへ行け、である。姉といっても義理の姉だ。母親が違う。ダレンバーナに居た頃も、数えるくらいしか顔を合わせたことがない。だから今、彼女の方から声をかけてきたのが意外だった。仲のいい姉妹を見せつけたいのだろうか。

「そうそう、カレン。あなたもダレンバーナの女として恥じないような振舞いをしなさいね」
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