望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「団長?」
 怪訝そうにロバートは目を細めた。

「それから奥方には、ここの飲み物には手を出さないように言っておけ」
 言われたロバートは、誰にも気づかれないように頷いた。

「まったく、なんなの?」とメイリンク夫人は憤っている。「あなた、もう帰りましょう」
「そうだな」
 ロバートはレイモンドから渡されたハンカチを握りしめて、妻に言った。

「カレン」
 レイモンドがダレンバーナの嫁の名を呼んでいる。その女は立ち止まらない。レイモンドは妻の腕を掴み、無理やりこちらを向かせた。
「私に恥をかかせる気か」
 静かだがよく通る声だ。

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