望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 アドニスや、獣化したときの自分に見せる表情とは違う表情。
 多分、いや間違いなく。

 レイモンドは上を向いたままため息をつくと、両手で顔を覆った。

 この感情をなんて呼ぶのか。恐らく、嫉妬。
 ではその感情を向けている相手は誰なのか。獣化した自分に向ける感情か。

 何を間違えたのか。出会い方か良くなかったのか。彼女が彼女であることに気付かなかったからか。
 愛して欲しいとは言わない。ただ側にいて、その温もりを与えて欲しいだけ。近くで彼女の体温を感じていたいだけ。
 それすら叶わないのは、なぜだろうか。どこで道を間違えたのか。

 心の中には深くて濃い霧がかかったような感じだ。その霧の中を手探りで進むしかないのだろう。

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