望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「あ、旦那様?」

 レイモンドに気付き、ゆっくりと顔を向けてみる。レイモンドは膝をつき、彼女の肩を抱き、そしてその頭を自分の胸に押し付けた。

「旦那様?」
 カレンが見上げる。
「無事で良かった」
 レイモンドは強くその肩を抱きしめた。

「あ、ああ。ええ。私は無事です。あのクビにした料理人が、襲ってきたのです。私への恨みでしょうね」

「そうか」
 レイモンドは、それ以上は何も言わないし、聞かない。ただ、彼が生きている音が聞こえてきた。
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