望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う

　そうやってゆったりと歩いていると、何か気になるものがカレンの視界に入った。

「メアリー。あの、あそこ。何か動いているものがいるように見えるのですが。見えませんか？」

　カレンが目を細め、指を差し、庭の奥にいる何かをメアリーに伝えた。
　そして明らかにメアリーもそれに気付いていることに、カレンは気付いた。

　だがメアリーは。
「何も見えませんね。奥様の気のせいではございませんか？」
　笑顔を浮かべながらそう答えた。

　絶対に気のせいではない、と思いながら、カレンはゆっくりとそれに近付いた。
　それが何であるかを認識できるほどに。
　メアリーは彼女がそれに近付くことを止めようとしたが、実はカレンが起こした行動によって得られる結果も気になっていた。