望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「旦那様は、ローゼンフェルドがダレンバーナに乗っ取られるのを、黙って指をくわえて見ているおつもりですか?」
 彼女は笑っていた。だが、その目は怒りに満ちている。
「旦那様が休暇を取るのを、彼等は待っていたのでしょう。本来であれば、結婚式を挙げてすぐにでも取るべき休暇をズルズルと引きずってきましたからね」
 笑っているようで笑っていない目元。
「団長である旦那様が不在であれば、他の団員達くらい、なんとでもなるのでしょうね」

 カレンは両手をレイモンドの両腕に添え、彼からすっと離れた。

「旦那様、このままでよろしいのですか」
 再びレイモンドの両手をとる。ローゼンフェルドをゆっくりと蝕んでいくダレンバーナの民。それらをそのまま放っておいてもいいのか、と。

「カレン。君は、何を企んでいる?」

 目の前で優しく微笑む彼女は、何かを企んでいるようにしか見えない。

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